【コラム】データを活用した畑のプロファイリング〜国内データ編〜

いつも農業ブログをご覧いただきありがとうございます。弊社では、これまで培ってきたITに関する技術力を活かしながら、「新たな農業のカタチ」を日々模索しています。今後はコラムという形で、我々が挑戦している「農業へのデータ活用事例」を紹介してまいります。

さて、本日のテーマは「畑のプロファイリング」です。政府が公開しているオープンデータや民間企業が保有しているデータを使って、畑の持つ特徴を明らかにしていきます。

まずは面積から。上の写真はGoogle Mapから切り取った写真を加工したもので、対象区画が3つ、合計で約2,400m2の畑になります。こういった面積、位置情報も重要な属性情報になります。

種類 作物名 埼玉県本庄市 群馬県伊勢崎市
畑耕地面積:1,200ha
(全国平均:1,154ha) 畑耕地面積:2,620ha
根菜類 ダイコン ー(データ無し)
にんじん
ジャガイモ
葉茎菜類 秋冬はくさい 2,790t / 55ha
冬レタス 822t / 32ha
キャベツ
ねぎ
玉ねぎ 744t / 20ha
ほうれん草 2,550t / 297ha
果菜類 冬春きゅうり 4,820t / 36ha 3,530t / 37ha
夏秋きゅうり 2,500t / 44ha 3,660t / 69ha
冬春ナス 2,300t / 37ha
夏秋ナス 1,130t / 26ha 3,220t / 59ha
冬春トマト 725t / 7ha 3,520t / 45ha

次は農水省が公開している「作物統計」のデータになります。こちらは毎年、市区町村ごとに、栽培されている作物の種類と収穫量が公開されており、自分の畑の周りでよく栽培されている作物を知ることができます。今回は弊社の畑がある埼玉県本庄市と隣の群馬県伊勢崎市について調査しました。その結果、ジャガイモなどの根菜類の実績がないことがわかりました。そこで今年の春からジャガイモなどを栽培し、周辺農家との差別化を図っていく計画をしています。意外と農家さんは周りで何が栽培されているのか知らないもので、こういったデータを使うことで、経験と勘によらない新たな視点を獲得できると考えています。

3つ目は土壌に関する調査になります。上の図は農水省の下部組織である農研機構が公開している「e土壌図」を一部切り取ったものになります。日本全国の農地を土壌特性に応じて下記の通り分類しており、各グループごとに土壌の特性が把握できます。弊社の土地は「F:低地土」に分類されており、水捌けが良好で、野菜の向き不向きは特になさそうでした。

さて、最後は気象データを使った分析になります。実は最近、弊社では気象データの活用に注力しています。というのも、気象は土壌のように改良できるものではなく、気候変動によって今まで以上のスピードで変化するものであり、農業含めてあらゆる産業に影響を与えるデータだからです。弊社では国内37万地点を網羅した1kmメッシュの気象データ(予報は含まない)を扱っております。気象庁が公開しているアメダスAPIと比較して網羅性が高く、均質的なデータとなっております(下記参照)。


気象庁(アメダスAPI) 弊社
国内の観測地点 約1,300地点 約370,000地点(1kmメッシュ、日本気象協会 提供)
取得可能なデータの種類 降水量、気温など最大で5種類あるが、観測地点によっては1種類しか取れない場所も 国内はどの地点も6種類、観測地点によるバラツキは無い


では実際に気象データを使って何をしているかというと、「適地探索」です。「適地探索」とは、「気象条件の似たエリアを探索し、これまでの経験と勘によらず、データから新たに栽培可能な作物を探索する」という意味です。今回は年間平均気温と年間合計降水量を元に、自社の畑と似たエリアを全国から探索しました。その結果、「岡山県岡山市」ヒットしました。岡山市では「黄ニラ」と「パクチー」が特産品だそうで、弊社では今後「パクチー」を栽培して、周辺農家と差別化を図っていく予定です。

黄ニラのイメージ

パクチーのイメージ

いかがでしたでしょうか?このように、自分の畑を土壌や気象など、色々な視点から観察することで、新たなポテンシャルを発掘することが可能になります。弊社では今回のプロファイリングを通して明らかになったポテンシャルの実証実験を、2024年4月からスタートします。その様子はブログを通してお届けしますので、ぜひ引き続き、ご覧ください!

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